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その土地の建物(沖縄)①

制作日: 2011年1月23日| ブログ, 建物のいろいろ

年明けに沖縄本島へ行ってきました。この時期は曇りが多い沖縄…晴れ間が見えたのは1時間ぐらいだったような気がします…沖縄には観光目的だったのですが、やはり目につくのは建物です。仕事柄でしょうか…一緒に行った友人はまったく目につかないとのこと(笑)

琉球村の有形文化財の古民家

特に沖縄は本土とは違い、沖縄地方特有の建物を見ることが出来ます。歴史的な話をすれば、すごく長くなるので割愛しますけど、目に入る建物は、古い民家なら朱色の瓦で屋根にシーサー、少し新しいものでしたらほとんどが鉄筋コンクリート造の建物です。新築工事をしている建物も目に付いたのはコンクリート造でした。こんなに鉄筋コンクリート造、コンクリートブロック造の建物が多いのはどうしてだろう?と疑問を抱いて帰ってきたのですが、調べてみるとコンクリート造が多いのは、戦後からだそうです。

「沖縄でコンクリート造の家が多い理由」

古いコンクリート造の建物

戦前の沖縄は、森も豊かで、家は木造りでしたが、戦後は一変し、物のない復興期、アメリカ基地の金網の向こうには豪華なコンクリート造の住宅。台風がきてもびくともせず、豊かな国アメリカの象徴だったそうです。やがて市民生活が落ち着いてくると家不足の中、木造住宅も多く建てられましたが、当時の建築・構造技術はお粗末で、すぐに白アリにやられました。雨漏りも珍しくなく、台風がくると、きしむ家の中で怯えていました。そこで「家を建てるならコンクリート」という、評価が定着したそうです。

そうした理由から建物はコンクリート造がほとんどだそうです。

「戦後の木造建築は」戦後の資源不足や、技術が低かった事もありますし、そもそも長持ちさせようとする発想がなかった。国の政策が新築中心だったことがあります。住宅産業が戦後の復興を支える役割を果たしたこともあり、高度成長で増え続ける人口が住めるだけの大量の住宅が短期間で整備されましたが、質的には欧米より見劣りする建物ばかりという結果となったのです。見た目も豪華で台風にも強い、しかも当時の木造建築技術のお粗末さでコンクリート造の建物に流れていくのもうなずけますね。

建築途中のCB造建物だそうです。

観光途中で見かけた建築現場では外壁もCB(コンクリートブロック)で積まれていました。なんというか…外壁にあのCB一枚だけとういのが…個人的にはガレージや倉庫、納屋のイメージです(笑)冬は寒くなる事はないので大丈夫なのでしょうけど、夏の断熱対策や、梅雨の湿気とかは大丈夫なのかなぁと…いらぬ心配なのかもしれませんが(笑)

「近年の沖縄の住宅は」コンクリート造が多く建てられましたが、そのコンクリート造の建物が建築ラッシュだった1970年代には、コンクリート材料が不足、海砂を使うケースも多くなり、多量の塩分を含んだ資材でつくられた建物が多く、塩分で鉄筋が錆びて膨張し、ひび割れ、雨水が浸水して腐食がすすみ、やがて崩落などの大きな問題が発生しているそうです。通常コンクリート住宅の耐用年数は60年といわれますが、築30余年にして既に老朽化の激しい建築物もたくさんあり、特に、塩害や台風にさらされる沖縄の風土では、コンクリート住宅の耐用年数は30~35年といわれるようになりました。 

木造建築はというと、当時はお粗末だった木造建築の技術も飛躍的に向上しましたし、国がストック重視の住宅へと転換しました。200年住宅という言葉も耳にしますよね。いわゆる長期優良住宅です。沖縄でも戦前はほとんど木造建築で民家は建てられていましたし、首里城も現在は再建築されたものですが、立派な木造建築のお城です。

首里城…改装中でした…

風土や気候にも、環境を考えるうえでも、健康な生活を送るにも、やはり【木】の家が一番いい。戦後アメリカの影響もありコンクリート住宅が普及しましたが、近年は木のぬくもりの住まい、健康住宅、エコ住宅が沖縄でも広まっているようです。インターネットで探すだけでも木造住宅をメインに建てている住宅会社さんがすぐに出てきます。木造から戦後はコンクリート造、そしてまた木造へという原点回帰ではないですが、やはり木造建築が沖縄でも増えてきているようです。